
利益を確保した商品価格の付け方〜ハンドメイド物販スクールセミナーレポート〜

今回は「利益を確保した商品価格の付け方」についてお話をします。
2024年11月9日、「利益を確保した商品価格の付け方」講座を開催しました。
この講座では、価格設定の基本から市場調査の方法、原価計算、利益率の考え方、価格帯ごとの商品設計まで、ハンドメイド販売を継続・安定させるために必要な価格戦略についてお伝えしました。
「売れてはいるけれど、なぜか手元にお金が残らない」「なんとなくで値段を決めてしまっている」そんな悩みを抱える作家さんにとって、実践にすぐ活かせる知識が詰まっています。
価格設定に不安のある方、これから本格的に販売を始めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
価格設定の重要性と基本
価格設定は「信頼」と「利益」を左右する
ハンドメイド販売を「趣味」から「ビジネス」にするために、まず取り組むべきが“価格設定”。
価格は売上や利益を左右するだけでなく、ブランドへの信頼感にも直結します。
「高すぎると売れない」「安すぎると利益が出ない」だけでなく、お客様が「これくらいだろう」と想定している“価格帯”も意識する必要があります。
そこに見合う価値を伝えられてこそ、適正価格で売れるのです。
売上=利益じゃない。価格と経費の見直しを
よくあるのが、「売上はあるのに、全然お金が残らない」という悩み。
たとえば30万円売れても、経費が25万円なら利益は5万円。
一方、経費を15万円に抑えられれば、利益は3倍の15万円になります。
同じ売上でも、利益の出方は大きく異なります。
価格設定に成功し、利益をしっかり残せる作家ほど、2年目以降の伸びが大きいのです。
講師自身も「安ければ売れる」と考え、数百万円の売上を上げながら利益がまったく残らなかった経験があります。
利益が出れば、次の一手が打てる
利益が出ると、その分を「次の集客」に投資できます。
- SNS・WEB広告の出稿
- ブログやコンテンツの発信強化
- 外注による作業の効率化
- 百貨店・イベント出展によるブランド拡大
ハンドメイド商品が売れない最大の原因は、作品のクオリティ不足ではなく、「知ってもらえていない」こと。
価格設定に失敗して利益が出なければ、この“知ってもらうための投資”もできなくなってしまいます。
価格設定は単なる「値決め」ではなく、未来への投資戦略。
しっかりと利益を見込める価格を設定し、ビジネスとして育てていくことが、成功への第一歩です。
市場調査と価格戦略
「この価格で本当に売れるのかな?」
そんなときは、自分の感覚よりも“市場”を見ることが大切です。
たとえば、「イヤーカフ パール」などのキーワードでGoogleショッピングを検索すれば、競合商品の価格帯が見えてきます。
minneやCreemaなどでも同様に、最安値・最高値・平均価格を調べておくと、市場の“相場感”がつかめます。
こうしたリサーチをもとに、自分の商品がどの価格帯で勝負できるのかを判断していきます。
利益が残る価格を設計する
価格設定では、「どれだけ利益が残るか」が非常に重要です。
理想は「経費40%、利益60%」の構成。
このバランスを保つことで、たとえ委託販売などで手数料40%が発生しても、ビジネスとして成り立ちます。
利益率60%を下回る商品は、再設計の検討対象になります。
とくに、「利益が出ない=広告・SNS運用などへの投資ができない」=次の一手が打てないという状態に直結するため、見過ごせないポイントです。
松・竹・梅の価格戦略と差のつけ方
講座では、いわゆる「松・竹・梅」戦略も紹介しました。
これは、お試し(梅)、本命(竹)、高単価(松)の3段階の商品を用意する手法で、平均単価アップ・選びやすさ・信頼感UPを狙うものです。
価格帯ごとの目安となる利益率は以下の通りです
- 松・竹(本命・高単価商品):利益率 60%以上
- 梅(お試し商品):利益率 10〜30%程度でもOK(広告・レビュー用としての位置づけ)
たとえばこんな差のつけ方を紹介しました。
ペットの首輪
梅:980円(基本仕様)
竹:2,600円(反射材やフリル付き、オリジナルタグあり)
ピアス(受講生事例)
梅:980円(シンプルな金具)
竹:4,800円(同じ金具+天然石などで高級感をプラス)
「最初は梅でレビューを集め、やがて竹が売れ筋になる」という流れを設計しておくことで、販売の土台が整っていきます。
価格とコストの最適化
材料費・資材費の計算方法
感覚ではなく、数字でコストを把握することが利益確保の第一歩です。
材料費を正確に把握するためには、以下のステップで1商品あたりのコストを計算します。
材料費の計算手順
- 材料の種類をリストアップする
→ 使っているすべての材料を細かく書き出します。 - 購入価格を確認する
→ 購入時の価格(セット価格や容量)を記録します。 - 単位ごとの価格を計算する
→ 例)100個入り500円のパーツ → 1個あたり5円 - 使用量を計算する
→ 商品1点に何個・何グラム・何センチ使うかを算出します。 - 商品1つあたりの材料費を計算する
→ 単価 × 使用量で、1商品あたりの材料コストを出します。 - 総材料費の計算を行う
→ 上記すべての材料費を合計して、総材料費を算出します。

※不良品の分は原価に含めないのが一般的です。
また、資材費についても、同じように商品資材・配送資材をすべてリストアップし、使用コストを算出します。(例:ギフトボックス、台紙、説明書、緩衝材など)
金型などの固定費の考え方
一度だけかかる大きな費用は、製造数で割って1個あたりの原価に分散させます。
例:5万円の金型代 ÷ 1000個 = 1個あたり50円
配送費の考え方
商品サイズ・重さに合った配送方法を選びましょう。
- アクセサリー類 → クリックポスト(185円)
- 衣類 → レターパックプラス(520円)
- 大型雑貨・陶器など→ ゆうパック(平均約3000円)
「万一の補償が必要か」「手渡しが必要か」も判断のポイントです。
製造労働費の考え方
ハンドメイドにかかる時間も“原価”です。
作業にかかる時間 × 最低賃金で製造労働費を出しましょう。
例:東京都の最低賃金:1,113円
→ 30分かかるなら 556.5円を製造労働費としてカウント
※外注する場合は、内職工賃(例:100円/個)で計算します。
利益率の計算と確認
価格を決める際は「利益率」を必ずチェックしましょう。
目安:60%以上が推奨
計算式
(販売価格 − 原価) ÷ 販売価格 × 100
例:販売価格1,000円、原価400円の場合
→ (1000 − 400) ÷ 1000 × 100 = 利益率60%
利益率を高める工夫
利益率が合わない場合は、次のような工夫で見直しが可能です。
- 素材・梱包資材の見直し
- 仕入れ先の変更
- シール→スタンプなどの簡素化
すべてのコストを「見える化」することで、利益の出る価格設定が可能になります。
カスタマイズ商品の企画と販売戦略
売れる商品には「特別感」が必要です。
ハンドメイド作家にとって、“オンリーワンの商品”を作れることが最大の強み。
その力を活かせるのが、カスタマイズ商品の企画です。
サジェストワードの調査では、以下のキーワードが多く検索されていました。
- 名入れ
- イニシャル
- 誕生日
- 出生児の体重
これらの要素を取り入れることで、「プレゼントにしたい」「自分だけの記念品としてほしい」といった感情に訴える商品が作れます。
カスタマイズの種類(例)
- カラー選択(布・パーツの色が選べる)
- サイズ調整(手首サイズ、首輪の長さなど)
- 素材の選択(天然石/ビーズの選択)
- パーツの選択(チャームなど)
- 名入れ・イニシャル加工(刺繍・刻印など)
- オーダーメイド(制服リメイク/手描きデザインのオーダーなど)
こうしたカスタマイズ要素を盛り込んだ商品を「松商品」として企画してみましょう。
リサーチ結果の活用とテスト試作
企画をカタチにするには、調査結果に基づく「試作」と「検証」が大切です。
以下の手順に沿って、リサーチからテスト制作まで進めていきましょう。
STEP1:検索キーワードでニーズと相場を確認
- Googleトレンドでビッグワード(例:アンクレット)の流行傾向を確認
- ラッコキーワードでサジェストワードを調査(例:つけっぱなし、金属アレルギー対応 など)
- Google画像検索でデザイン・素材の流行や共通点を視覚的にリサーチ
流行しているモチーフや素材、人気のカラー傾向をメモしましょう。
STEP2:商品構成を設計する(松竹梅)
同一のビッグワード+サジェストワードをもとに、以下の構成で商品を考えます。
- 梅:お試し価格(980円など)
- 竹:本命商品(3,000円〜5,000円)
- 松:カスタマイズ込みのプレミアム商品(8,000円〜30,000円)
合計20商品ほどを目安に展開してみましょう。
STEP3:Xmindで視覚化して整理する(おすすめツール)
以下の手順で構成を「見える化」すると、商品企画が整理しやすくなります。
- ビッグワードを中央に入力(例:アンクレット)
- サジェストワードを周囲に配置(例:金属アレルギー、誕生石)
- 松竹梅の商品アイデアを展開し、それぞれに画像や特徴を追加
- 自作・参考商品の画像を貼り付け、方向性を視覚的に確認
企画段階で商品構成や差別化要素が明確になり、無理なく制作に移ることができます。
まとめ
- 価格設定の重要性を理解する
利益が残る価格=次の投資につながる。安売りはNG! - 市場調査を行う
Google・minne・Creemaなどを活用して、相場とトレンドを把握。 - 松竹梅価格戦略を理解する
「選ばれやすい価格帯」と「売上アップ」を両立するための仕組み。 - 原価計算を行う
材料・資材・労働・送料すべてを数値化して、利益率60%を目指す。 - 価格帯別の商品を試作する
市場のニーズを踏まえて、松・竹・梅の3商品を設計・テストしてみましょう。
これらの課題をひとつずつクリアしていくことで、「なんとなく販売」から卒業し、「選ばれるブランド」へと成長していけます。
この講座を受けた方たちからも、たくさんの気づきや前向きな声が届いています。
以下、参加者の感想を一部ご紹介します。

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